2025.08.15
義歯のメンテナンス方法と長持ちさせるコツ

東京都大田区東急池上駅前にある池上駅前城南歯科の院長、矢端恆秋です。今回は、「義歯のメンテナンス方法と長持ちさせるコツ」についてお話をしていきます。
はじめに
義歯、いわゆる入れ歯は、歯を失った方の生活を支える大切な道具です。しかし、装着して終わりではなく、毎日の適切なケアとメンテナンスがなければ、口内トラブルや不具合の原因になってしまいます。特に保険診療で作られる義歯は、一定の耐久性はあるものの、使い方次第で大きく寿命が変わります。義歯を長持ちさせ、快適に使い続けるための知識を身につけていただければ幸いです。
目次
- 義歯はなぜ定期的なメンテナンスが必要なのか
- 毎日の洗浄で義歯を守る基本ケア
- 義歯を傷つけない正しい取り扱い方法
- 就寝時の義歯は外すべきか?
- 長持ちの秘訣は「口腔環境との調和」
- 痛みやズレを感じたときの正しい対処法
- 最後に
義歯はなぜ定期的なメンテナンスが必要なのか
義歯は人工物であるため、素材そのものが時間の経過とともに劣化することがあります。また、私たちの口腔内は常に変化しており、顎の骨や粘膜の形状も少しずつ変わっていきます。こうした変化に義歯が合わなくなってくると、噛みにくさや違和感、さらには粘膜の炎症などの問題が起きやすくなります。
定期的なメンテナンスを受けることで、微調整を行い、常にお口にフィットした状態を維持することが可能です。また、義歯の破損や摩耗を早期に発見することで、大きなトラブルに発展する前に対処できます。健康な義歯は、健康な食生活と生活の質の向上にもつながります。
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毎日の洗浄で義歯を守る基本ケア
義歯のケアでもっとも重要なのが、毎日の洗浄です。食後には必ず取り外して流水で丁寧に洗うようにしましょう。汚れが残ったまま装着し続けると、細菌が繁殖しやすく、口臭や口内炎、さらには誤嚥性肺炎のリスクにもつながります。
洗浄の際には、歯磨き粉を使うのは避けましょう。市販の歯磨き粉に含まれる研磨剤が義歯の表面を削ってしまい、細かい傷ができることで菌が付着しやすくなるからです。代わりに義歯専用のブラシや洗浄剤を使うことをおすすめします。日常的なケアの積み重ねが、清潔で快適な義歯を保つための鍵となります。
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義歯を傷つけない正しい取り扱い方法
義歯は落とすと割れてしまうことがあり、思っている以上に繊細です。外すときや洗浄時には、必ず水を張った洗面器の上で作業するなど、落下への対策を意識してください。特に部分義歯の金属部分は歪みやすく、無理な力を加えると変形してしまいます。
また、装着時や取り外し時には、ゆっくり丁寧に扱うことが大切です。力まかせに押し込むような使い方をすると、お口の中に傷ができたり、義歯自体にダメージが入ることがあります。義歯は身体の一部として丁寧に扱う意識を持ってください。
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就寝時の義歯は外すべきか?
「夜も義歯をつけたまま寝ていいのか?」という質問をよくいただきます。基本的には、就寝時には義歯を外すことをおすすめしています。長時間の連続使用によって、粘膜が常に圧迫されると、血流が悪くなり炎症が起きやすくなるからです。
また、就寝中は唾液の分泌が減るため、細菌が繁殖しやすく、義歯性口内炎などのリスクも高まります。一晩中乾燥させてしまうと変形の原因にもなりますので、外した義歯は必ず水に浸けて保管するようにしてください。乾燥による劣化を防ぎ、清潔さを保つための重要な習慣です。
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長持ちの秘訣は「口腔環境との調和」
義歯の寿命を延ばすには、単に義歯そのもののケアだけでなく、周囲の口腔環境を整えることが大切です。義歯の周囲の歯ぐきが腫れていたり、残っている天然歯にトラブルがあると、義歯は正しく機能しません。
歯ぐきの健康を維持するためには、残存歯のブラッシングや、歯間の清掃も欠かせません。とくに部分義歯の場合、バネをかける歯の健康状態が義歯の安定性に直結します。全体のバランスを整えることが、結果的に義歯を長く使える状態に保つ近道となります。
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痛みやズレを感じたときの正しい対処法
義歯を装着していて「なんとなくズレている」「噛むと痛い」と感じたとき、そのまま使い続けてしまうのは大変危険です。わずかなズレが粘膜を刺激し、口内炎や潰瘍、さらには骨の吸収を引き起こすこともあります。
こうした症状が現れたときは、すぐに歯科医院で調整を受けてください。自己判断で削ったり、市販のパッドを入れたりするのは逆効果になることがあります。専門的なチェックを受けることで、小さなトラブルを早期に解決し、快適な使用状態を取り戻すことができます。
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最後に
義歯は、失った歯を補い、日々の生活を支えてくれる大切なパートナーです。しかし、その役割を十分に果たしてもらうためには、使用者自身による日々のケアと、専門家による定期的なメンテナンスが不可欠です。
義歯を長く快適に使い続けるためには、清潔を保つこと、正しく扱うこと、そして自分の口の中の変化に敏感でいることが大切です。当院では、義歯の調整や修理はもちろん、快適に使い続けるためのアドバイスやサポートも行っております。義歯に関するお悩みがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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歯科医師 院長 矢端 恆秋
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